現役助産師兼ライター・ブロガーのまったです。
みなさんは「助産師」という仕事、聞いたことありますか?
数年前、綾野剛さんが主演のドラマ「コウノドリ」で産婦人科が取り上げられ、知っているよという若い人も増えてきました。
2022年時点で全国で働いている助産師の数は37,940人。
(引用:助産師の人数・年代・就業場所・雇用形態等2020年版(2022年発表)データ)
働いていない助産師さんを含めたらもっといるのかもしれませんが、それでも少ないですよね。
・助産師、気になっているんだけど誰に聞いたらいいかわからない… ・気になるけど、助産師さんが周りにいないから実際の話を聞けない
今回はリアルな助産師の仕事について、助産師になるにはどうしたらいいか解説していきますね!
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【現役助産師のリアル】仕事内容について教えて!
助産師という仕事は、出産のサポートにスポットが当てられがちですが実はそうではないんです!
助産師は女性の一生を支えていく仕事だということご存知でしたか?
わたしの経歴を簡単にご説明すると
・総合病院勤務歴計10年以上
・クリニック勤務経験もあり
・細々と性教育、嗅覚反応分析をやる出張専門助産院を経営
・助産師学校実習指導教員、産後ケア事業委託に従事
・ライター、ブロガーの一面も
このようなわたしの背景も踏まえた上で、仕事内容について解説していきます。
出産のサポート、介助
助産師=出産のお手伝いというイメージ、かなり強いですよね。
陣痛や破水をしてから出産後まで、一連の流れをサポート。
痛みの緩和のサポートや陣痛を促進するケアをしていき、出産がスムーズに進むように支援します。
スムーズにいかないときは原因を探ったり、異常があった場合には医師と協力して産婦さんをフォロー。
いざ出産!ってなったら、自分が舵取り!
産婦さんへの呼吸の指導や赤ちゃんが上手に出てこれるようなサポートを行っていきます。
お母さんも赤ちゃんも最後まで無事でいてくれ…!
みんながんばってる!わたしも頑張る!という思いで、出産に立ち会っています。
出産の一連の流れは、わたしがいろいろとやっている仕事の中で一番神経を使う仕事…!
お母さんの命も赤ちゃんの命も預かっているんだから、緊張するのは当たり前。
その分、赤ちゃんの元気な泣き声とお母さんの安堵した表情を見ると、わたしも嬉しくなります。
帝王切開の場合はメインは医師ですが、助産師は赤ちゃんの第一呼吸の手助けをしなくてはならず手術室に一緒に入らせていただきます。(ここは病院やクリニックによって異なると思います)
死産、中絶の方のサポート
生きて生まれる命もあれば、亡くなって生まれる命もあります。
わたしも働き始めて、こういった現場もあるんだというのを目の当たりにしました。
実習では現場を見ることはないし、学校の授業も特にないから知らないんです。
中絶には初期と中期があり、初期の場合は手術を行い赤ちゃんを取り出しますが、中期中絶という妊娠12週以降、22週未満の場合には下からのお産になります。
中絶にはお母さん側、赤ちゃん側でさまざまな理由があります。
中期中絶の場合、先生が赤ちゃんを取り上げることもありますが、急激にお産が進んだりした場合は助産師が出産の介助をします。
死産の方も同様です。
産声のない赤ちゃんの出産の介助は、とても心苦しくなります。
が、その感情をいったん飲み込み、普通の出産と変わらないサポートをしています。
メンタル面のサポートも欠かせません。
出産後の育児指導、母乳ケア、メンタル面でのケア
出産をしたら早速育児をしなくてはなりません。
おむつ替え、抱っこ、おむつ、授乳など…「育児」と一口に言ってもいろいろありますが、退院までに不安が最小限になるよう育児に関することをお母さんやお父さんなどご家族に伝えていきます。
また、出産をしたら母乳がよく出るようにケアをしたり、授乳指導、乳腺炎という乳房の炎症を未然に防ぐために生活指導をしたりとさまざま。
入院中は昼夜問わず育児に追われます。
入院している時期は疲労が溜まり、ホルモンの影響も相まってメンタルが落ちるとき。
特にきっかけはないのにボロボロと涙が出たり、逆にイライラしたり。
いわゆるマタニティーブルーというもので、産後3~4日目に出てきて自然に2週間前後で軽快する人がほとんどなのですが、人によっては産後うつ病に移行してしまう人もいます。
それを未然に防ぐためにも、助産師によるメンタルケアは必須です。
妊娠中の方へのケアや指導
病院やクリニックによっては、妊婦健診はほとんど助産師が担っているところがあります。
妊婦さんからお話を聞いて運動や食事など、必要な指導やケアをしたり、赤ちゃんがしっかりと育っているかエコーで確認したりすることも助産師の仕事です。
母親学級、父親学級、両親学級も助産師がやっていますよ。
プレコンセプションケアや性教育、更年期や老年期の方のサポート
プレコンセプションケアという言葉を初めて聞いた人がほとんどかもしれません。
プレコンセプションケアは、将来の妊娠のことを考えながら女性やカップルが自分たちの生活や健康に向き合うことをいいます。
最近よく取り上げられているんですよ。
プレコンセプションケアの中には、わたしの専門分野である性教育も入っています。
性教育は学生などのお子さんだけではなく、老若男女問わず提供するものです。
また更年期障害で悩んでいる人や老年期の女性特有の悩みがある人もいるため、そのような人たちのサポートを行っていますが主に外来での業務になるかと思います。
助産師になるにはどうしたらいいの?
わたしの経歴は、
・看護専門学校(3年) ・看護師国家試験受験、合格 ・助産師専門学校(1年) ・助産師国家試験受験、合格
助産師になるのもさまざまなルートがあります。
わたしの場合【助産師専修学校】
わたしの場合、看護師になることしか考えておらず助産師学校に通うことはアウトオブ眼中でした。
助産師になろうと志したのは看護学校在学中の2年生のとき。
母性看護学の授業を受けてとても面白かったのと、赤ちゃんが好きだったのがきっかけです。
早く社会に出たい!お金の負担がそんなにない学校を!と思ったときに、最短年数である助産師専修学校を受験することを決意しました。
助産師専修学校は母数自体少なく、倍率は7~8倍が当たり前。
看護師国家試験の勉強をしながら、受験勉強をしていましたが3校のうち2校落ちました。笑
残りの1校がわたしが通った学校なのですが、唯一国語の受験科目があったんです。
もともと文系脳のわたしは、おそらくそれで点数が稼げたのかなと思っています。
受験科目は国語、基礎看護学、母性看護学。(だったような気がする)
2次試験で小論文、面接がありました。(多分。遠い記憶であまり覚えていない)
受験科目は学校によってさまざまです。
場所によっては英語の科目があるところもあるし、小児看護学の科目があるところも。
もし、助産師になりたい!という人がこの記事を読んでくれているのなら、事前に学校についてリサーチして受験科目を把握し、より力を入れてその教科を伸ばすのは1つのポイントかと思います。
大学や大学院の場合
わたしの周りには専修学校卒業の子があまりおらず、ほとんどが大学か大学院卒の子ばかり。
大学の場合は4年間の中で看護師・保健師・助産師の資格を取ることも可能だそう。
看護師の実習、保健師の実習、助産師の実習をこなさないといけないのでかなり大変だと聞いたことがあります。
大学に4年通った後に専攻科でプラス1年で計5年通う人も。
本当にさまざまなので、自分が何を勉強したいかどのような将来を歩んでいきたいか、あとは経済面でどちらにするか考えて良いと思います。
助産師の仕事って楽しいよ!
神経を使う仕事ですが、助産師という仕事はとてもやりがいのある仕事です。
現役助産師としてリアルな助産師のお仕事をお伝えしていきました。
わたしは助産院経営や病院などで働いているので、性教育をすることもあれば病棟で出産に立ち会うこともあれば、外来で更年期に悩んでいる方のお話を聞いたりだとかさまざまです。
これはあくまでも「わたしの場合」なので、一例としてこんな人もいるんだ~ぐらいに思っておいていただければ幸いです。
もちろん、働く場所によって仕事の内容も変わりますから。
今後もパラレルワーカーとして働く助産師の働き方などについてお伝えしていきますね。